レトロブーム|若年層の心を掴む「昭和レトロ」「平成レトロ」とは?レトロマーケティング成功事例も解説
近年話題の「レトロ」。Google Trendsで見てみると、2010年付近から検索数が緩やかに伸びてきていることがわかります。
確かに、2010年代には、使い捨てカメラやメロンソーダ、シティポップなど、昭和を感じるモノたち、すなわち「昭和レトロ」なモノが再流行しました。
それらの商品は今でも若者に人気ですが、レトロブームが長引くにつれ、それを担う世代がシフトしたこともあり、現在は徐々に「平成レトロ」ブームが頭角を表しています。
そこで今回は、話題の「昭和レトロ」とそれに次ぐ「平成レトロ」と、それらを活かして成功したマーケティング・PR事例を取り上げます。
なぜ若者(若年層)はレトロに惹かれるのか?
レトロなモノが流行り出した理由を端的に表すと、「エモい」からだといえるでしょう。
デジタルネイティブであるZ世代をはじめとした若年層には、レトロが持つ不完全さが魅力的に映るのではないでしょうか。
数年前に巻き起こった「写ルンです再ブーム」からもそのことが読み取れます。
高解像度で鮮やかな色味の写真を、撮ってすぐにディスプレイで確認できる現代のカメラやスマートフォンに対して、
写ルンですは、撮り直しが効かず、ややくすんだ色合いの写真しか撮れず、さらに現像にも時間がかかるカメラです。
そんな不完全さが、若年層の心を掴んだのです。
レトロマーケティング成功事例/最新レトロ流行
昭和レトロ
西武園ゆうえんち
「昭和の熱気を遊びつくそう」をコンセプトに、2021年春、リニューアルオープンした遊園地です。
昭和の街並みを再現した「夕日の丘商店街」や、やはり昭和を感じるアトラクションを始め、舞台である1960年代の雰囲気を忠実に再現しています。
マリマリマリー
昭和(80,90年代)を思わせる絵柄のアニメキャラクターたちがコントを繰り広げるYoutubeチャンネルです。
ポップでどこか「エモい」キャラクターのデザインや、シュールで体温低めに進んでいくコントの作風が人気です。
平成レトロ
平成初期に流行したグッズやカルチャーも、最近になって再流行しています。
平成レトロブームを牽引するのは、幼少期に平成初期のカルチャーを経験したミレニアル世代(80年代後半〜90年代半ば生まれ)と、
平成初期のカルチャーに親しみがないZ世代(90年代後半〜2010年代生まれ)の若者たちです。
前者にとってはどこか懐かしく、後者にとっては「逆に」目新しく感じられるところが、「平成レトロ」の魅力だといえるかもしれません。
デコ
携帯電話やバッグなど、身の回りのあらゆるものを「デコる」のが平成ギャルの掟でした。
平成初期に、ラインストーンで埋め尽くされた携帯電話や、大きなキーホルダーがジャラジャラと付けられたスクールバッグを目にした人は多いでしょう。
DIYや「映え」が流行している今、デコの良さが再注目されています。
とはいえ、平成初期とは少し様相が異なり、派手すぎるデコは敬遠されているようです。
令和世代のデコ職人たちは、目立つことは目指しておらず、あくまでオリジナリティを出すことに重きを置いているということでしょうか。
写ルンです
手頃な価格で購入でき、特別な準備も必要なく、手軽に写真が撮れるということで発売当初大ヒットしました。
しかし、スマートフォンやデジタルカメラの台頭でその影を潜めていた…と思われましたが、2016年になって再流行したのです。
撮り直しができない「貴重」感、現像するまで仕上がりがわからないドキドキ感、セピアなフィルターがかかったような色で現像される写真…など、「煩わしさ」「不完全さ」が、若年層にとっては魅力的だったのです。
たまごっち
1996年に発売された初代たまごっちは、流行語大賞を取るなど当時の大ヒット商品でした。
しかし、その後人気は衰え、一時生産中止にも追い込まれました。
現在のたまごっちはカラー液晶や通信機能を持っているほか、デザインやシリーズも豊富です。
その特性が若年層に受け入れられ、「どこか古くて懐かしい、レトロなおもちゃ兼キーホルダー」として再び人気商品となっています。
まとめ
歴史や流行は繰り返す、といいますが、レトロブームはまさに「繰り返す流行」だといえるでしょう。
レトロなものを新鮮に感じる若年層だけでなく、その時代に生きた人にも「懐かしい」と受け入れられやすいレトロブームは、今後も長く続くのではないでしょうか。
とはいえ、当時の流行を完全に再現しているわけではなく、やはり「令和版」にアレンジされているものなので
若年層向けにレトロマーケティングを行う際には、注意深い観察が必要そうです。